面白い映画には愛を捧げ、そうでない映画には鉄槌を下す
てるおとたくおの
ぶっちゃけシネトーク
●今日のちょい気になることシネ言
「ブルーレイ3Dソフトの値段、もうちと安くしてほしい」
シネトーク143
『マダガスカル3』
(2D・日本語吹替)
MADAGASCAR 3:EUROPE'S MOST WANTED
監督:エリック・ダーネル/コンラッド・ヴァーノン/トム・マクグラス 音楽:ハンス・ジマー
声の出演:ベン・スティラー/クリス・ロック/デヴィッド・シュワイマー/ジェイダ・ピンケット・スミス/サシャ・バロン・コーエン/セドリック・ジ・エンターテイナー/ジェシカ・チャステイン
日本語吹き替え:玉木宏/柳沢慎吾/岡田義徳/高島礼子/小木博明/矢作兼
2012年米/ドリームワークス/93分/ビスタサイズ/3D/パラマウント配給(2012年8月1日公開)
●作品解説
ドリームワークス・アニメのヒット・シリーズ4年ぶりの新作。
今度はヨーロッパを舞台にアレックスたちの騒動を描く。
NYの動物園を飛び出し、アフリカ大陸で暮らすアレックス、
マーティ、メルマン、グロリアの4人組はNYに戻るため、
ペンギンズを頼ろうとモンテカルロのカジノへ。
ところがそこでの騒ぎでアレックスたちは
動物公安局のデュボア警部に追われる身となってしまう。
途中、おんぼろサーカスの一団と出会った彼らは
サーカスを立て直し、NY公演に向けて奮闘するのだが・・・。
※ネタバレしてます! ご注意を!
見せ場のつるべ打ちで大人ほどハマるシリーズ最高傑作!
てるお 「いや、分かる、分かるよっ! あの角刈りヘアーのライオンのビジュアルがもうダメとか、鼻のでかいカバが全然可愛くないとか、ドタバタしてるだけの話についていけないとか、観る前から苦手意識がビンビンに出ちゃうアニメだということはさ。実際、俺も知人から薦められるまであまり観る気起こらなかったし。しかし、食わず嫌いはいけないねえ~
」
たくお 「僕もてるおからうっとおしいぐらいにプッシュされて何気に観たけど・・・・・・・ハマるな、コレ
」
てるお 「だろ? 騙されたと思って観てみるもんでしょ。1作目はそこそこに面白いという感じでそんなに中毒性の高い作品じゃなかったけど、2作目から急に面白くなりやがって
、3作目にしてついに傑作になった!
という感じ。ホップ・ステップ・ジャンプが見事に決まったシリーズだと思う」
たくお 「1はどっちかというと映画パロディが強くて、ストーリーはまだ二の次感があったよね」
てるお 「『キャスト・アウェイ』や『ミッション』のパロディはケッサクだったよ。特に腹をすかしたアレックスに大量の牛肉が降ってくる『アメリカン・ビューティー』の妄想パロディ、アレ、マジで最高だった!
話としても、4匹の仲良しドタバタゴッコだけじゃなくて、アレックスが肉食動物の本能をむき出しにして、やはり獰猛なライオンであることを再認識させる描写もちゃんと入れてる。きちんと食物連鎖や弱肉強食をテーマにしているところも悪くない」
たくお 「空腹でイッちゃってるアレックスの毛が段々逆立ってくるとことかでも十分に笑えたけど
」
てるお 「マダガスカルからアフリカに舞台を移す2作目では、アレックスが離れ離れになってた両親と再会。なぜNYの動物園に連れてこられたのか彼の過去も明らかになる」
たくお 「ここでは親子や後継者選びをテーマにしつつ、アレックスとマーティの友情劇、メルマンとグロリアの恋愛劇も入ってて、話の盛り上げ方も断然良くなった」
てるお 「冒頭からでっかいアクションを盛ってくるし。ペンギンズが操縦するオンボロ飛行機のあのドタバタだけでもう
でしょ。あそこは演出としても最高だよ!」
たくお 「キャラの中では2で活躍してたキツネザルのモートが一番好き。『グレムリン』の一瞬パロディもワロた」
てるお 「活躍って・・・・サメに追いかけられてただけじゃん
」
たくお 「あのでっかいお目目の愛らしい表情がもうたまらんっ!
」
てるお 「で、4年ぶりとなるシリーズ最新作だけど、ぶっちゃけさ、昨年夏のアニメ陣『おおかみこどもの雨と雪』や『メリダとおそろしの森』よりも圧倒的な完成度だと思う。断言してもいいっ!
」
たくお 「オープニングからエンディングまでノンストップなブッとび度はシリーズ随一! ひたすらアクションとギャグをブッこんでくるから、観てるこっちはヘトヘト。ずっとハイテンションなままだし
」
てるお 「でもヘトヘトになってもグッタリしない。心地よく疲れさせてくれるというか。すべてのキャラが実にイキイキしてて、しんみりしてるヒマがない。
前2作に比べ、明らかに作風が変わってるよね」
たくお 「前作が『レイダース』なら今回は『魔宮の伝説』という感じ。テーマ性とかドラマは減退しちゃってるけど、とにかく見せ場連続のジェットコースター・ムービーなので、テンポの良さはシリーズダントツ! 特盛り、ヘイお待ちーっ!てな感じ
」
てるお 「開始20分で2つも見せ場を盛ってくるし。『ミッション:インポッシブル』的なカジノ潜入ドタバタ劇から、そのままクライマックス級のドハデなカーチェイスが展開。すでにそこで俺は前のめりになって観てる。
この約20分のアクション・シークエンスだけでも傑作だわ」
たくお 「デュボアがチンプス(サル)のバナナ砲を浴びる場面での露骨な『マトリックス』のパロディもワロたよ」
てるお 「何気に今回も映画パロが多いよね」
たくお 「見せ場的な仕掛けがあちこちにあるからそれを目で追うだけでもう大変。僕はそういうドタバタものは本当はあまりノレないんだけど、本作はアクションの中で見せるキャラの動作や仕草がいちいち面白いから思わず画面に集中してしまう。まるで親が幼い子供を落ち着かせるためにアニメのビデオを流して、子供がジッと画面に釘づけになってるあの感じ
」
てるお 「1でも感じた“ストーリーは二の次感”が今回は良い方にうまく作用してる。多分、監督はまずキャラにどんなアクションをさせるかを先に考えて、後から話を肉付けしていると思う。いつもなら“話ありきだろ!”とエラそうに抜かしている俺でも、そのアクションが文句なしに楽しいから、してヤラれた!って感じなんだよ
」
たくお 「話はほとんどあってないようなもんだけど、とにかくどうやって観客を楽しませようか、という作り手側の本気が伝わってくる映画っていいよねーっ」
てるお 「アレックスたちがアフリカから海を泳いでモンテカルロまであっさり着いちゃうとか、メルマンが蛇口から出てくるとか、本当なら怒りたくなるような“ふざけすぎないい加減描写”もシリーズダントツ。でも、彼らがそんなおふざけをやっても『あ、コイツらだったらこうだよな』ってな感じで許せちゃう
」
たくお 「今回はサーカスの団員も加入してくるので、より一段と賑わいを見せる。輪くぐりで失敗したことがトラウマになってるトラとか。あ、ダジャレじゃないよ」
てるお 「・・・・・・・・。てか、トラのビターリの再起話は10分ぐらいであっさりと解決してたけどね。そのへんのドラマはバッサリと割愛してて、やはり見せ場だけに注力してるんだよ」
たくお 「コンディショナーかよ!
」 ←観た人なら分かります
てるお 「キング・ジュリアンがクマのソーニャと恋に落ちるエピソードもほとんど本筋と関係ないんだけど、バチカンでのデートシーンは和ませてくれるよな
」
たくお 「でもあのテーマ曲が流れると、どうしても『アンダルシア 女神の報酬』を思い出すんですけど・・・
」
てるお 「ソーニャだけ人間語を喋らず、他のキャラに比べやたらとリアルに描かれてるんだけど、愛くるしさはダントツ! ヒネくれる仕草とかあの5歳児感がたまらん
」
たくお 「正直『メリダ』のクマより、表情ひとつ取ってもこっちの方が完成度高い」
てるお 「彼らが活躍するサーカスの見せ場は3回も用意されてるというサービスぶり。みんなが練習をしてるシーン、サーカスの本番シーン、で、NY動物園でのデュボアとの攻防戦。いずれの見せ場も大人が観てもワクワクさせてくれるんだよね
」
たくお 「子供の頃にボリショイサーカスを夢中になって観たのを思い出したヨ。ま、コッチはもっとありえない仰天サーカスなんだけど」
てるお 「せわしないんだけど演出に無駄がないし、エンターテインメントに徹してるのが嬉しくなる。『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』よりもこっちの方が全然楽しい」
たくお 「前2作でアレックスをボコボコにしたハッスル婆ちゃんが今回出てこない代わりに彼らを追いつめるのが、動物標本に命をかけるデュボア警部。あのビジュアルは強烈。どっかで見たような顔なんだけどなあ・・・・・・・思い出せん
」
てるお 「ターミネーターばりにしつこい。アレックスたちは人間っぽいのに対し、デュボアは動物っぽく描かれてるのも面白いな」
たくお 「ゴキブリだろ、アレは
」
てるお 「正直、今回はサーカス編で、次の4作目でアレックスたちがNYの動物園に帰ってくるのかと思いきや、ラストでアッちゅー間に戻ってきたのは、ちょっとビックリしたけど」
たくお 「えっ?もう帰ってきたの!?って。
なんか作品1本分すっ飛ばした感じで話が急展開。いくらなんでもちょっと割愛しすぎじゃねーか?」
てるお 「このシリーズって前からそうなんだけど、話の回収がかなり強引なんだよね。悪く言えばけっこう雑
」
たくお 「アレックスたちが自分たちの“ホーム”にやっと戻って来る場面はもうちょっと感動的に描いてほしかったけどね」
てるお 「で、戻ってきたかと思ったら、『やっぱサーカスのほうがいいわ!』ということであっさりとまた旅に出ていくし。
ま、アレックスたちは動物園の中にいるよりも外の世界ではしゃいでくれてた方がこっちも面白いわけで・・・・」
たくお 「だよね」
てるお 「俺が唯一後悔したのは本作を2Dで鑑賞したこと。上映されて1カ月以上経ってから観たのでもう3D上映やってなくてさ・・・。ま、別に2Dでいいやと思ったんだけど、鑑賞後は『うわー、これは3Dで観るべきだった!』と激しく悔やんだヨ。なので思いきってブルーレイ3D買っちゃった、高かったけど
」
たくお 「あちこちに3Dを意識した演出がされてて、しっかり飛び出してくるよね。特にサーカスシーンは3Dで観たほうが圧倒的に面白い!
」
てるお 「ソーニャがエサを食べる時の水しぶきとか、マーティやメルマンが首をニョキっと突き出してくるところの3Dも楽しいーっ!」
たくお 「訓練シーンでアザラシのステファノが大砲で飛ばされるシーンの3Dも最高だったヨ!」
てるお 「キャラのあのデフォルメ感と3Dの相性がかなりいい。『ピラニア3D』と同様、3Dはビックリ箱的な見せ物である!というスタンスでちゃんと作られてる。奥行き感ばっかりでちっとも面白くないそのへんのボンクラ3D映画なんかよりすこぶる出来が高い」
たくお 「久々にオススメできる3D映画だわ
」
てるお 「昨今のタレント吹き替えは何かと叩かれているけど、本作の玉木宏、柳沢慎吾、岡田義徳、高島礼子の4人組は数少ない成功例といってもいい。今となっては日本語吹替のほうがしっくりくる
」
たくお 「最初、玉木宏が起用されたと聞いた時は不安だったけどね。彼のクールボイスは確かに特徴的でカッコイイけどさ、果たしてその調子でこういうテンションの高いキャラとマッチするかどうか。『永谷園のお茶漬けっ!』という感じだと間違いなく失敗する。
でもアレックスの時はきちんとテンションを上げて演じてくれてるから、いつもの玉木宏感が思ったほど出てなかったので違和感なかった」
てるお 「そうなんだよね。アレックスの魅力をちゃんと引き立てながら演じている。ゴーリキの顔がどうしても浮かぶノオミ・ラパスとか、竹中直人にしか見えないサミュエル・L・ジャクソンとか、ああいうヒドイ失敗はしていない
」
たくお 「マーティ役の柳沢慎吾はめっちゃ柳沢慎吾感が出てるんだけど、マーティのビジュアルが既に柳沢慎吾なので、全く違和感ないというね。
絶対、彼をキャスティングした吹き替えスタッフは顔が似てるから、という理由で起用してるでしょ
」
てるお 「柳沢慎吾が4人の中では一番ブッとんでるよね。2では何気に『あばよっ!』とか言ってたし」
たくお 「今回の笑撃セリフはマーティの『アフロ、行きまーすっ!』でしょ。翻訳した人、グッジョブ!
」
てるお 「『家に、家に、家に、角煮っ!』にも吹いた。
オリジナルのセリフのニュアンスを活かしつつ、日本語のダジャレを取り入れる作業は大変だったと思うぞ」
たくお 「だろうね」
てるお 「ただ残念だったのは、エンドロールで“踊るの~好っきー好っきー!”が流れなかったこと。前2作で日本語バージョンをあんなに広めたんだから、今回もちゃんと日本語で流すべきでしょ!」
たくお 「確かに日本語バージョンのテンションでシメてほしかったなあ。あと、エンドロールが10分もあって長すぎ・・・・」
てるお 「この映画、エンドロール分を差し引いたら正味83分しかない。3Dのスタッフが加わった分、長くなるのはしゃーないとして、だったらエンドロールにもキャラがちょこまか出てきて退屈させない工夫とかしてほしかった」
たくお 「それこそピクサーが一時期やってたNGシーンとか入れるとかさ。『マダガスカル』のようなキャラで立ってるハイテンション系な作品だとNGも面白くできたのに」
てるお 「世界興収は1が5億3268万ドル、2が6億0390万ドルとウナギ上りで、今回はシリーズ最大の7億4211万ドルを記録
してる」
たくお 「評価も日米ともにウナギのぼり。ロッテン・トマトは55% → 64% → 79%
で、ヤフー映画の評価では、3.36点 → 3.94点 → 4.42点!
すごい絶賛されてるな」 ※1月23日時点
てるお 「純粋に面白かったー!という気持ちになれる作品だしね。これだけの成功を収めてるんだからやっぱり4作目にも期待しちゃうわけで」
たくお 「今年からはドリームワークス・アニメの配給はパラマウントから20世紀フォックスに移る。2016年までのラインナップは出ているけど、そこにはまだ4作目の情報はないね。その代わりスピンオフとなる『ザ・ペンギンズ・オブ・マダガスカル』が2015年3月に公開される」
てるお 「おおーっ、それも楽しみっ!」
ココGOOD! 大人でも童心に返れる楽しさ!/すべてのキャラクターが魅力的/ダレるヒマを与えないノンストップ&ハイテンションな演出/開始20分のチェイス・シーンがお見事!/映画のパロディ/サーカス・シーンがめちゃ楽しい/人間離れしたデュボア警部/抜群に素晴らしい3D演出/オリジナルよりも上出来な吹き替え版の完成度と日本語のダジャレ
ココBOMB! ドラマとテーマ性はちょっと薄味に/あっさりと動物園に戻ってきちゃう/エンドロールが長すぎる上に退屈/今回はなぜか日本語版主題歌が作られず
●満足度料金
てるお 1300円
たくお 1200円
『マダガスカル3』 85点
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