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シネトーク90『コンテイジョン』●従来のウイルス・パニック映画から飛び抜けた面白さはなく・・・・

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ブルーレイ&シネマ一直線




三度のメシぐらい映画が好きな
てるおたくお
ぶっちゃけシネトーク

●今日のてるたくのちょい気になることシネ言

「寒くなってきたんでこれから映画館に行くのがツライ。特にチャリンコで行く人は・・・・」



シネトーク90
『コンテイジョン』
CONTAGION




監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マリオン・コティヤール/マット・デイモン/ローレンス・フィッシュバーン/ジュード・ロウ/グウィネス・パルトロー/ケイト・ウィンスレット/ブライアン・クランストン/ジェニファー・イーリー/サ
ナ・レイサン


2011年米/ワーナー・ブラザーズ映画/106分/ビスタサイズ/DLP/ワーナー配給(2011年11月12日公開)




※ネタバレしてます! ご注意ください





ブルーレイ&シネマ一直線 エンタメ性では『アウトブレイク』の方が圧倒的に優れている


てるお 「ゲホゲホしながらこの映画を観てると周囲から白い目で見られるから要注意だな」


たくお 「僕、本作を観た翌日から咳が止まんなくなってさ。ちょいリアルに怖かった・・・・」


てるお 「ウイルス感染のパンデミック映画はもう何も珍しくないけど、これほど豪華スターが勢揃いしてるのはなかったかも。いかにもソダーバーグらしい人気スターの無駄づかい・・・・いや、アンサンブル映画になってるね(笑)」


たくお 「ただ、同じスター映画『オーシャンズ』シリーズのようなエンタメ映画として期待すると全然タイプが違うので要注意かも」


てるお 「どっちかというと『トラフィック』や『チェ』2部作のシリアスな社会派ドラマ系のソダーバーグ映画なんで、これから観る人はそのつもりで観たほうがいい」


ブルーレイ&シネマ一直線


たくお 「でも『アウトブレイク』だって何気に多くのオスカー俳優が競演してるじゃん。ダスティン・ホフマン、モーガン・フリーマン、ケビン・スペイシー、キューバ・グッディング・Jr。他にもドナルド・サザーランドやレネ・ルッソ、パトリック・デンプシーも出てる」


てるお 「それは結果としてスター映画になっただけでしょうが。スペイシーだって出演時はまだ“ジョン・ドゥ”になる前だったし」


たくお 「ま、確かに(笑)」


てるお 「それよかさ、情報シャットアウトで観に行ったのに、劇場のチラシ置き場にワーナーがスポニチとタイアップした本作の新聞チラシがあって、そこにデカデカと『アカデミー女優2人死亡!』と書いてあるんだよ。なんか楽しみを奪われた感じで腹立った」


たくお 「(チラシを見て)これはヒドい(笑)」


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てるお 「オスカー女優って3人しか出てないし、そのうちの2人と言ったらもう誰か分かるじゃん。キャラ的にいえばパルトローとウィンスレットの2人だって簡単に想像ついちゃうし」


たくお 「パルトローがあまりにも呆気なく死んじゃうんで、出番ってこれだけ?と思ったけど、後のシーンでも“回想”で生き返るんでファンの方はご心配なく(笑)」


てるお 「でも死んだベスのエピソードを中心に話が進む構成はうまいと思った。オスカー女優の脳みそが解剖されちゃうなんて初めてじゃね?


たくお 「不倫している女はロクな死に方しないってことだよ(笑)」


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てるお 「ちなみに電話で話してた不倫相手の声はソダーバーグなので要チェックだす」


たくお 「当初はベス役にはジェニファー・コネリーがオファーされてたらしいよ」


てるお 「ほお、そうなんだ。脳みそパッカーンのジェニファーも見てみたかったな」


たくお 「コティヤールだって途中で拉致られてからほとんど出てこないし。彼女だけその後どうなったのか分からないまま映画が終わったのも実に歯がゆい」


てるお 「ワクチンが偽物だと分かって村に戻ったことは想像できるんだけど、彼女の行動心理がイマイチ分からないので、そこはちゃんと描いてほしかった」


ブルーレイ&シネマ一直線

たくお 「ソダーバーグはこれだけの一流スターでも強力なウイルスにはかないません、とでも言いたかったんやろか?


てるお 「でも無敵の“ジェイソン・ボーン”は未知のウイルスにも強かったな」


たくお 「キャスト陣は出演シーンが短いのでそれぞれ1週間ぐらいで撮り終えちゃったらしいよ


てるお 誰一人、ヒーローや救世主として描いておらず、全員を主人公として描いている。また、ウイルス・テロを起こそうとするようなステレオタイプな悪党も出てこない


たくお 「ただしジュード・ロウを除いて(笑)」


ブルーレイ&シネマ一直線

てるお 「予告編を観た時はスター競演ムービーということでけっこう期待してたんだけど、これまでのウイルス・パニック映画から飛び抜けた面白さがあまりなかった


たくお 「強力な感染力をもつウィルスによるリアルな人間パニックの怖さを追求した、とソダーバーグは言ってるけど、これだけ知られてるスターが出てきたら逆にリアルさを欠いちゃっている気がするんだが。もっと地味な俳優を使ったほうがよくないか?


てるお 「どうだろ? 話は全然大したことがないので、これぐらいのスターを揃えないと誰も観にこない気もするが(笑)


たくお 「客寄せのためにこんだけのスターを出したんかいな。ソダーバーグもソツがないねえ(笑)」


てるお 「ただ、あまりTVスポットも流れてないせいか、公開2日目の土曜日に観たのにすっごいガラガラだったな」


たくお 「リアルなウイルスの怖さという空気感は確かにあったけど、ドラマ的な盛り上がりもあまりなく、コレといった見せ場もなく、恐ろしいぐらいに冷徹なタッチで描かれているのが逆に印象的だった


てるお 「ヘタにウソくさい映画的ドラマを排除しているのはソダーバーグの狙いなんだろうけど・・・・・でも、話がやっぱりつまんない(笑)


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たくお 「音楽も印象的だったな。メロディラインが全然なくてそれがまた不気味さを助長してた」


てるお 「あの無感情な音楽は“ウイルス浸食”のイメージに恐ろしいほどハマってる」 ↓ You Tubeで聴いてみて


たくお 「音楽はソダーバーグとは10作品も組んでいる常連組のクリフ・マルティネスという人」


てるお 「お、『ソラリス』の音楽もやってるのか。あの音楽は寝る前に聴くとすごく安らげるんだよねえ。胎教音楽に向いている(笑)」


たくお 「話は見せ場が思ったほどないわりには、世界各地でバタバタと死んでいっている。そこがもうウソっぽくて興醒めしたんだけど」


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てるお 「『アウトブレイク』(1995)みたいにウイルスがジワジワと広がっていく描写があまりなかったので、今ひとつその恐怖を実感できなかったのが残念だわな


たくお 「映画館で咳をしてた男からウイルスが他の客へと広がっていく描写は怖かったけど、すっごい分かりやすかった(笑)」


てるお 「本作はパンデミックの恐ろしさをいたって真正面から捉えているんだけど、エンターテインメントとしては『アウトブレイク』の方が面白かった


たくお 「スペイシーが防護服に穴を開けてしまったり、ルッソが誤って注射針を刺して感染してしまったり、そういった緊迫感も『アウトブレイク』のほうがあったと思う」


てるお 「ウイルス兵器を企み、感染した町を爆弾で一掃しようとする悪玉サザーランドとの攻防はちょっとマンガっぽかったけど、それでもギリギリまで緊迫感を保たせたペーターゼン監督らしい演出も良かった」


たくお 「ホフマンが宿主のサルをあっさりと見つけちゃうご都合な展開はあえて目をつむろう(笑)」


てるお 「そういえば、ペーターゼンの新作って全然見なくなったね。『ポセイドン』が大コケしたからかな?」


たくお 「てか、『コンテイジョン』のトークなのになんで『アウトブレイク』の話をしてるんだ?(笑)」


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てるお 「話を戻すと、『アウトブレイク』と決定的に違うのは、向こうはウイルス拡散の恐怖をストレートに描いてたけど、『コンテイジョン』はパンデミックによって連鎖的に引き起こされる人間の心理パニックに重点を置いていて、人間社会の脆弱さを訴えている


たくお 「ジャーナリストのジュード・ロウがブログででまかせを広め、人々の恐怖心や猜疑心を煽るパニック描写は現代的だし、暴動、略奪など人間の醜い部分もきちんと取り上げてる


てるお 「ただ、俺が許容できなかったのは、バスでもがき苦しんでる人に嬉しそうに携帯で撮ってるバカがいる場面。日本人はあんな非常識な人種だと思われてるのか」


たくお 「未曾有の大震災に遭っても助け合う日本人の美徳を世界中が称賛してたのにね。トラックに轢かれて子供が倒れているのに平気で素通りするどっかの国の人間とは違うと言いたい」


てるお 「ただ、日本は震災を体験したばかりなので、人々がショッピングセンターで日用品を買い占める場面は妙なリアルさがあったな


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たくお 「被災地でない東京でも買い占めを目の当たりにした僕らとしては他人事ではないシーンだった」


てるお 「しかし、日本であの買い占めパニックを引き起こしたのは明らかにマスコミの過剰な報道だった。散々報道で煽っておきながら『買い占めはやめて』と言い出すマスコミにはマジで呆れたよ」


たくお 「津波と原発問題を24時間何度も繰り返し報道するマスコミが世間をマインドコントロールしている、と世間から大きく批判されてたし」


てるお 「必要以上にパニックを誘発するジュード・ロウを見て、東京が3.11のような被災地になった場合の死者・負傷者数、帰宅困難者数を予想して公表したマスコミを思い出した。アレだって民衆の不安をムダに煽っている愚行だわな」


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たくお 「本作では、マスコミの報道よりもジャーナリストのブログを信じた人々がレンギョウを求めて薬局に殺到する。あのシーンは日本政府や東電のグダグダな発表に不信を募らせていた国民の姿と重なったよ」


てるお 「もし映画のようなパンデミックが日本で起こった場合、政府は迅速に対応できるのかという不安、不信は否めない。まず頼りになる政治家がいないから


たくお 「『アウトブレイク』ではウイルス拡散の阻止に奔走する軍医の視点がメインだったのに対し、本作ではWHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病管理予防センター)、ジャーナリスト、一般人それぞれの視点からウイルスの脅威を描いている」


てるお 「群像劇としての構成はいいんだけど、それぞれのエピソードが短いうえに、今ひとつ深みがないからドラマとしての印象は薄いんだよ


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たくお 「当初のストーリー案はそれこそ3時間近くあったみたいよ。でも映画のリズムを重視して1時間分ほど削って今の脚本になった


てるお 「もっと各人物の機微を深く描いていればドラマとしての見どころもあったはず」


たくお 「そのせいか、いつの間にか世界中で2600万人も犠牲者が出てる展開は唐突だったなあ。オイオイ、いつの間にそんなに死んだんだよって(笑)」


てるお 「主要人物ではマット・デイモンのエピソードが一番良かった。妻に不倫された上に死なれ、継子にウイルス感染させて道連れにされた一番の被害者なんだけど、実子の娘をなんとかして守ろうとする姿は共感できるものがあった


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たくお 「娘の恋人に猟銃を向けてまで引き離そうとする父の愛は何よりも強しですよ。亡くなった妻の写真を見て泣き崩れ、娘の彼氏が陰性だと分かったら温かく家に迎えてあげるシーンでは胸が熱くなった


てるお 「感染が広がっていく前半30分までは緊迫感もあったんだけど、中盤あたりから急にトーンダウンする。話はなんかブツ切れで終わっちゃうし、もうちょっと余韻のあるシメ方にしてほしかった」


たくお 「でも、感染の原因を明かす『DAY1』をオチに持ってくるブラックジョークにも似たあの終わり方はソダーバーグらしいと思ったけど。ま、安直な終わり方なんだけどね


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てるお 「てか、あのシメ方はなんかコメディ映画みたいだったな。ベスの会社が森林伐採をしたことでコウモリの巣が破壊 → 病原ウイルスを保有していたコウモリが豚舎へ → そのコウモリが落としたエサを食べる豚 → その豚を調理するマカオの料理長 → 料理長、手を洗わずベスと握手 → ベス、感染・・・・・チャンチャン!みたいな(笑)」


たくお 「料理人のくせにてめーは手も洗わねえのかよ!ってツッコんだ人は僕だけじゃないはずだ


てるお 「てか、あの描写に中国側からクレームこなかったのかな? 『中国人のコックは手を洗ってないと思われたら観光客が減るじゃないか!』とか(笑)」


たくお 「そんなにヒットしてる映画じゃないから、そこまでの影響力があるとは思わんが」


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てるお 「そもそも本作の話のベースは明らかにSARS騒動だろうし。中国側が報道を規制したことが対応の遅れとなって被害が拡大したことは周知の事実だし」


たくお 「いっそのこと国の情報規制によるウイルス被害の深刻化とかも描いて、思いっきり“批判映画”にすりゃよかったんだよ。だったらもっと面白かったかも


てるお 「現実的なウイルス・パニックをシミュレートした映画としては観る価値はあるけど、もっとドキュメンタリー・タッチに徹してくれたらリアルな怖さがより際立ってたのに


たくお 「ヘンに劇ドラマも入れてるから、どっちつかずな印象は否めんけどね」


てるお 「でも6億人の感染者を出したスペイン風邪みたいなパンデミックがもし21世紀に起こったら、と思うとちょっとゾクッとするものがあるな」


たくお 「ジュード・ロウが力説してたように、ワクチンを開発した製薬会社が莫大な利益を得るために、実は裏でウイルスをわざとまき散らした、と疑心暗鬼に陥ってしまう怖さもある」


てるお 「ウイルス・テロだってもう絵空事じゃない。強力なウイルスを体内に保有した自爆テロ犯が標的国の街中を歩けばそれでいいわけだから。コワイよ」


たくお 「そうでなくても、ウイルスの突然変異なんて予測できないから、ある日突然、世界的に大流行することだってある


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てるお 「世界中に目を光らせているCDCはどの国のどんな小さな村で変死事件が起こっても掌握できるシステムを持っているらしいので、感染源を突き止めればウイルスの封印はそんなに難しくないみたい。でも映画のような爆発的な感染力をもった未知のウイルスがもし発生したら、その予防策にも完全ではないと聞いてちょっと怖くなった」


たくお 「ま、例え接触感染でも死亡率の高い強力なウイルスは瞬時に広まることはほとんどないらしいけどね。ただ、空気感染は防ぎようがないから本当にやっかいらしい」


てるお 「まさに“今そこにある危機”だな。みなさんインフルエンザの季節です。うがい、手洗いをお忘れずに!」


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●『コンテイジョン』満足度料金

てるお  1000円

たくお  1000円



『コンテイジョン』 ★★★









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