企画だけは無数にあるDC映画だが、「仕切り直し」「迷走」「企画見直し」といったネガティブなワードがどうしても付きまとう。「DCフィルムズ・ユニバース」は2013年の『マン・オブ・スティール』から始まり、今年12月公開の『アクアマン』を含めるとまだ6作品しかない。今年で10周年を迎え『アントマン&ワスプ』で20本目となる「マーベル・シネマティック・ユニバース」より歴史は浅く、後れを取っている印象だ。それなのに変革期とは?
DCエンターテインメント社長のジェフ・ジョンズが社長職及びチーフ・クリエイティブ・オフィサーの職を辞任し、新たな会社「マッド・ゴースト・プロダクションズ」を設立した。今後はプロデューサーや脚本家としてDCと契約を結び、これまで以上にクリエイティブ方面に力を入れていくとのこと。ジョーンズ氏は既に『アクアマン』や『ワンダーウーマン1984』『シャザム!』にも関わっているが、新会社のクリエイターとして本格的に参戦するには『グリーンランタン・コァ』の製作&脚本になるという。新会社立ち上げ前は、ドラマシリーズの『タイタン』の他、『ザ・バットマン』『ブラック・アダム』『ナイトウィング』『デスストローク』『ゴッサム・シティ・サイレンズ』『バーズ・オブ・プレイ』などのプロデューサーに関わっていたが、今後も製作に続投するかは不明。
これまでDC映画を任されていたザック・スナイダー&デボラ・スナイダー夫妻は今後もプロデューサーとして名を連ねているとはいえ、クリエイティビティな部分にはタッチしておらず、そしてジョンズ氏の離脱。後任として『死霊館』ユニバースや『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を大ヒットさせたウォルター・ハマダが今後のDC映画の統括を任され、DCの起爆剤となるか大きな転換期を迎えている。
現在、ポストプロダクション中の『アクアマン』(2018年12月21日米国公開)、撮影中の『シャザム!』(2019年4月5日米国公開)、クランクインしたばかりの『ワンダーウーマン1984』(2019年11月1日米国公開)に注力しているDC。今後の企画で続報が入ってきているのは、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』と、マット・リーヴス監督による『ザ・バットマン』だ。
前者はジョーカーの起源を描くオリジン映画だが、「DCフィルムズ・ユニバース」とは別の作品として製作。『スーサイド・スクワッド』のジャレッド・レトが続投するのではなく、ホアキン・フェニックスが若き日のジョーカー役を演じる。『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス監督がメガホンを取り、マーティン・スコセッシ製作で注目されている作品だ。1980年代を舞台に、売れないコメディアンだったジョーカーがなぜ犯罪の世界に入っていたのかが描かれ、アメコミ映画というよりはクライム映画に近いトーンになるという。ビッグバジェット・ムービーではなく、製作費は5500万ドルの中規模作品として、いよいよ今秋から撮影に入る。本作を第1弾として、ワーナーは「DCフィルムズ・ユニバース」の世界観とは共有しない独自のDCレーベルを立ち上げるとも伝えられている。
『ザ・バットマン』はベン・アフレック監督&主演で企画が進んでいたが、自分は演技に集中したいとの理由で『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のマット・リーヴス監督にメガホンを託した。しかし最近、アフレックはバットマン役について「クールな去り方を模索している」と降板を示唆しており、DC側はアフレックではなく別の俳優を起用する方向で進めているようだ。つまり、アフレック・バットマンは『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ』の2本で終わることになる(ジェイク・ギレンホールが新バットマン役をオファーされているという情報も流れたが本人は否定)。若き日のバットマンを描くとも言われており、情報が事実ならプリクエル(前日譚)になる可能性が高い。リーヴス監督は第1幕の脚本を既に提出しているが、クランクインや公開日などは明らかになっていない。
最後に、現在企画中のDC映画をおさらいをしておくと、以下のとおり。
『バーズ・オブ・プレイ』/マーゴット・ロビーが優先的に動いているハーレイ・クインら女性悪党チームを主人公にした企画。キャシー・ヤン監督
『スーサイド・スクワッド2』/ウィル・スミス、ドウェイン・ジョンソン、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、ジョエル・キナマン共演、ギャビン・オコナー監督
『ゴッサム・シティ・サイレンズ』/ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー主演、デヴィッド・エアー監督
『ハーレイ&クイン』/ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー主演、グレン・フィカーラ&ジョン・レクア監督
ジャレッド・レト主演のジョーカー主演単独作品/監督未定
『ブラック・アダム』/ドウェイン・ジョンソン主演、監督未定
『グリーンランタン・コァ』/監督未定
『ロボ』/マイケル・ベイ監督にオファー中
『バットガール』/ジョス・ウェドン監督は降板
『ザ・ニュー・ゴッズ』/エヴァ・デュヴァネイ監督
『ナイトウィング』/クリス・マッケイ監督
『デスストローク』/ジョー・マンガニエロ主演、ギャレス・エヴァンス監督
『ブラックホーク』/スティーヴン・スピルバーグ製作。監督も?
『マン・オブ・スティール2』/ヘンリー・カヴィル主演、監督未定
『ジャスティス・リーグ2』/監督未定
『サイボーグ』/レイ・フィッシャー主演、監督未定
『フラッシュポイント』/エズラ・ミラー主演、監督未定
『デッドショット』/監督未定
はたしていくつの企画がきちんと映画化されるのか全く分からないが、続報に期待したい。
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