そして6年ぶりに復活する第5弾がついに公開。
初の海外となるロシアで5度のテロ事件に巻き込まれるマクレーンが、今度は疎遠だった息子ジャックと共に激闘を繰り広げる。
今回は作品の完成が遅れたため、試写はほとんど行なわれず、あまり詳細な情報が見えてこなかった。
ウィリスの来日も中止になり、公開直前のイベントではなぜか酒井法子が大々的にPR。シリーズ最短の98分、ビスタサイズ撮影という不安材料まで加わり、「本当に今度の『ダイ・ハード』は大丈夫か?」と心配する一方で、『4.0』はそのアクションの巻き返しで不安を見事に払拭してくれた作品に仕上がっていたので、「今回もそれなりのクオリティで見せてくれるでしょ、だって『ダイ・ハード』だからっ!」という安心感があったのも事実。
で、高まる期待を胸に公開初日に<参戦>してきましたヨ!
ガク然! 『ダイ・ハード』ならぬ『ダメ・ハード』!
えっ・・・コレは一体どういうことだ?
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以来となる久々の茫然自失・・・・。これだったら『ダイ・ハード3』のほうがまだマシに見えるという・・・・。
今回も色々とドハデなこともやってるし、ドンパチ戦も多いし、1本のアクション映画として見たら十分にクリアしている・・・・ようには見える。
『4.0』の時も「なんか違う」感はあったものの、アクションで大健闘していることもあり、評価も悪くなった。しかし今回の『ラスト・デイ』では明らかにダメな部分が多く、さすがにこれでは合格のハンコは押せない。いよいよ「今度こそは『ダイ・ハード』じゃない」になってしまったのだ。
では、何がダメなのか・・・・・・。
1:ヘッポコ&既視感満載なアクション演出
今回はメイン的なアクションが3つしかない。
開始15分ぐらいで展開されるカーチェイス、CIAの隠れ家での銃撃戦(これはメインに入らない)、ホテルでの銃撃戦、そしてチェルノブイリ戦。しかし98分しかないため、アクションの羅列だけになってしまい、窮屈感がハンパない。ストーリーに浸る余韻がないのだ。
矢継ぎ早に次の舞台に移って「ハイ、そこでアクション!」的な展開はまるでゲームっぽくて、映画的な面白さがほとんどない。これでは『エクスペンダブルズ2』と同じじゃないか。いや、『エクペン2』のほうが素直にバカになれた分、まだ楽しかった。
撮影に2カ月以上も費やしたという大規模なカーチェイスは、マクレーンがロシアに着いて早々に繰り広げられる。このシーンだけで10分以上もあり、ボリューム的には文句はない。カーチェイスだけで見たらシリーズ随一といえる。
しかし、アクション演出の見せ方がブサイクすぎて、それでいて大味。スマートさに欠け、目新しさもない。
『96時間/リベンジ』のシネトークでも述べたけど、なぜあんなにカメラをブラせる必要がある? なぜあんなにカットを割る? ズームの多用も意味があまりないし、ただ見づらくせわしない。
『ダイ・ハード』のアクションなのに、腰を据えてじっくりかつダイナミックに見せないでどうするっ! 先述した『4.0』で車が回転しながら主人公に迫ってくるあの迫力、車を飛ばしてヘリを撃墜させるあのアイデア。ああいう演出の工夫が全く感じられず、ずっと“どっかで観たような場面”感が付いて回る。
ただ車を大量にクラッシュさせればいいというものではない。質の高いカーチェイス・アクションを浴びるように観てきて、すっかり免疫のできた映画ファンを<質より量>でごまかせると思ったら大間違いというもの。
興奮MAXになるはずだったカーチェイスで早くもジョン・ムーア監督の演出力のなさが露呈してしまい、この時点で大いなる不安に駆られてしまう。 この監督、『ターミネーター2』『~3』『バッドボーイズ2バッド』『ワイルド・スピード MEGA MAX』のカーチェイス・シーンを観てもっと勉強したほうがいい。
ホテルでは武装ヘリに迎撃され、マクレーン親子が大ジャンプするCMでもおなじみの場面が展開される。しかしジャンプした先にはちょうど工事用のシューターがあり、そこにうまく入り込んで脱出!とやられても、そこにスリルは全く感じられない。監督よ、1作目の消火ホースでのジャンプ・シーンを思い出せ。
しかも、ヘリが襲撃する全く同じアクション・シークエンスをクライマックスでもやっており、アイデアの乏しさだけが浮き彫りになってしまい、興ざめ。 ヘリが炎上しながらマクレーン親子が並行して落ちていく最大の見せ場でも、うまい具合にプールがあって無事という、やはり危機脱出のスリルがない。
マクレーンが用意した手投げ弾が爆発して部屋中が火の海になるシーンのCGもヒドくて、明らかに時間が足りなくて“とっとと仕上げた”感が出ちゃっている。ハリウッドでこのクオリティはないんじゃないか。
ラスボスがスローで落ちていく場面は1作目のリスペクトらしいが、むしろ敵がヘリのプロペラに巻き込まれてミンチになる場面は、ウィリス主演の『ラスト・ボーイスカウト』のパロディにしか見えず・・・・。 しかも娘が「パパの仇よーっ!」とヘリでカミカゼ特攻してくるあの珍場面は笑うところなのか、どう観てほしいのか分からなくなり、「マジか・・・」と呆気にとられているうちに話が終わってしまったというね・・・。
ま、前作のラスボスの最期が画的に地味すぎたので、今回はハデにしましたよ!ということなんだろうけど。
寒々としたロシアの雰囲気を出したかったのか、ずっと薄暗い映像で画面からも活力が伝わってこないし。そもそもロシアにする必要もあまりなかったのである。それはなぜか・・・・。
2:舞台をロシアにした意味がほとんどない
なぜ舞台がロシアなのかというと、ただチェルノブイリを出したかっただけという・・・・・これまたお粗末な設定。そのチェルノブイリの話もまたヒドい(後述)。
海外を舞台にしたなら『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』のようにスケールアップ化を図らなければならないのに、話そのものがこじんまりとしてるし。そもそもどんどん話がでかくなっていくのが『ダイ・ハード』シリーズの魅力ではなかったのか? なんだ、この尻すぼみ感は!
1作目ではNYからロスにやって来ただけでもちょっと戸惑いを見せてたマクレーン。しかしアメリカの刑事である彼は、海の向こうを渡り言葉の通じないロシアで不利になるどころか、水を得た魚のように暴れまくっている。つまり彼はどこにいてもマクレーンさまさまなのだ。「俺はアメリカの刑事だ!ロシアで暴れても誰にも文句は言わせねー!」と、あくまでもオレさまのルールで動くというマクレーンの性格からしたら、やっぱりこれがフツーなのだろうか。
3:危険を好むマクレーンに共感できない
今回のマクレーンはやたらと好戦的なキャラに変わっているのも気になった。
裁判所での爆破テロで大騒動になり状況も把握できてないうちに、逃げる息子を追うためだけに派手なカーチェイスを繰り広げるマクレーン。「俺は刑事だ! ロシア語は分かんねーよ、ボケ!」と暴言を吐きながら一般市民を殴り、車を強奪! 道路で大勢の市民を巻き添えにして暴走する彼は完全にヤク中がラリって運転しているようにしか見えない。テロリストよりも車を破壊しまくってるという・・・。しかもジャックに「お前は俺のおかげで助かったんだろうが!」と勘違い発言するマクレーンに思わず苦笑。いやいや、あんたが勝手についてきただけでしょーが。
暴走することに快感を覚え、「よっしゃ! 全員ブッ殺そうぜ!」と明らかに殺人を楽しんでいるマクレーンに、前作まで少なからずともあった<傷つきながらも戦うリアルなヒーロー像>は完全に喪失。ただの“大人あばれはっちゃく”になってしまい、「なんかコイツ好きじゃなくなったかも・・・・」感がハンパないのだ。
カーチェイスであんだけクラッシュしてるにも関わらず、血1滴も流さず傷ひとつ負わず、まるでヘッチャラなマクレーンの無敵っぷりは、いよいよマンガ臭いウソが漂い始め、これでダイ・ハード・マン!と言われても「なんだかなあ」しか出てこない。
戦いでボロボロになり、苦痛に顔を歪めながらも敵に立ち向かっていく姿が共感を呼んでいたのに、勝手に首を突っ込み、ただの好戦キャラに成り下がったマクレーンは、そのへんのアクション・ヒーローとなんら変わらない。おなじみ「イッピカイエー、マザーファッカー」のキメゼリフも空回り。「親は子に尽くす」というセリフもあったが、「いや限度があるだろ」と脳内ツッコミ。
『4.0』で「誰もやる奴がいないから仕方なくやってるだけだ」と神妙な面持ちで語っていた彼が、今回は仕方なくじゃなく、みずから首を突っ込んでいる。1、2は妻のために戦い、3は自身が標的になり、4.0は青年の保護と娘のために戦っていた。しかし、シリーズの最大のお約束である「巻き込まれた運の悪いヤツ」も反故にされ、ジャックもCIAの任務を遂行するために行動しているだけなので、別にマクレーン親子でなきゃダメという必然性もない。そんなテロ事件、ロシア政府かCIAに任せとけばいいんじゃねーの?なのである。
マクレーンが機転を利かせて危機を乗り越えていく従来の面白さも目減りしており、闇雲にどこかに飛び降りたり、あらかじめ仕掛けていた起爆装置で敵を倒すだけでは盛りあがらない。
どんな窮地に立たされてもさりげなくジョークをかますのがマクレーンのカッコイイところなのに、それもあまりない(ま、今回はさほど窮地に立たされてはいないのだが)。マクレーンがワルボスを挑発して怒らせる得意技も見せてくれない(ま、今回は本当のワルボスが全然違うところにいた!というのもあるのだが)。『4.0』でマギー・Qと戦いながら「このカンフー忍者め!」とボソッと言う、ああいうユーモアも全然なくファンサービスにすらなってない。
4:マクレーン親子の距離感がよく分からない
息子のジャックが実はCIAの秘密捜査官だったという設定もオドロキで、オヤジよりも出世して海外で007をやっているから、マクレーンの存在感が薄くなってしまっているのも否めない。
いかんせん、マクレーン親子の断絶感とか距離感がさほど感じられないのも問題で、ジャックがマクレーンのことを「ジョン」と呼び、父親に向けて銃を向けるほどチョー不仲なのに、その設定が途中からどうでもよくなっている。この親子修復エピソードこそが今回の肝なのに全く活かしきれていないし、そこがほとんど端折られてるから面白くなるはずがない。
マクレーンが仕事一筋人間で家庭を顧みなかったせいで家族と溝ができてしまった程度の距離感だよね? それなのに、マクレーンが実の息子がCIAで働いてたことも知らなかったというのもリアリティがないし、そもそもルーシーも弟が何をやってたか知らなかったというのはどうなのよ? 元からマクレーン一家、崩壊してるんじゃね? ま、機密任務だからジャックが家族に内緒にしてただけなのかもしれんが。
だったら、ジャックは不出来な息子という設定にしておいて、犯罪組織の事件に関わってしまいどうしようもなくなったところをマクレーンが救出、彼を更生させ、親子の絆を取り戻すとかそんな話でいいんじゃないの? 「俺は父親失格だ」と後悔するオヤジの言葉を陰から聞いてジャックがしんみりしてるような、いまどきあんなくっさい演出をするよりも、よっぽどこっちのほうが話に説得力ある。まだ『4.0』のマクレーンとマットの関係のほうが親子らしく見えた。
で、この息子を演じたジェイ・コートニーって、申し訳ないけど、顔つきからしてテロ側の人間にしか見えない。テロ組織のボスの一番弟子みたいな。 ま、ボクが『アウトロー』を観たばっかりというのもあるんだけど、キャスティングミスだよねえ、やっぱ。
5:チョーいい加減で無神経な放射能描写に怒り!
それにしても今回はストーリーや細部のツメが甘すぎで、いい加減すぎる描写も大きなノイズになってしまい、アクションにあまりエキサイトできなかった。こんな精度の低いシナリオでゴーサインを出したスタジオにも驚き。
ちなみに脚本家のスキップ・ウッズのこれまでの仕事ぶりを見ると、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『ヒットマン』『ソードフィッシュ』の脚本を執筆。うむ、あまりイイ仕事をしてる人じゃないみたいです。
今回のラスボスは実は・・・・・というミスリードが用意されていて、予告編で映っていた悪党のリーダーっぽい男はただ利用されてただけという、『ダークナイト ライジング』のような<実はコイツが真犯人>的な展開はこれまでのシリーズにはなかったが、他の映画ではナンボでも使ってる手であって、そこに目新しさは全くない。マクレーンが女を怪しむ場面では、冒頭でイリーナとアリクが仲間だという描写があるので、ミスリードにすらなっていないという・・・・。オイオイ・・・・。
で、ジャックが探していたファイルなんてものは最初からなく、組織の真の狙いは史上最悪の原発事故現場となったチェルノブイリの倉庫に隠されていた大量の濃縮ウランで、大量破壊兵器や核爆弾を生成できるこのウランで巨万の富を得ようという、なんとも志の低い連中の集まり・・・・・というか、レベルの低い脚本で・・・・。コレって、ヴァン・ダムやセガールのビデオ映画なら許されるレベルの話でしょ? こんなのを『ダイ・ハード』でやるなよっ。 大量のプルトニウムで一獲千金を狙ってた『エクスペンダブルズ2』のヴァン・ダム一味と全く同じじゃないか!
ジャックがCIAの本部と連絡を取り合っている場面はあるのに、あれ以降、誰もマクレーン親子の応援に駆けつけなかったり、テロ事件が発生してるのにロシア警察が動き出す描写がないのもすごい不自然だし。
1のパウエル巡査、2の空港警察署長、3の刑事仲間、4.0のFBI捜査官や青年ハッカーのような、マクレーンをバックアップする人間が出てこないのも非常につまらない。マクレーン親子がナイトクラブに止めてあった車を盗んだら大量の銃器がごっそり積んであったなんていう描写もご都合以外なんでもない。
しかし、これから述べることに比べたら、こんなアラ描写は実は大したことじゃないんですヨ。
B級感丸出しのストーリーはともかく、心底呆れたのが放射能の扱いで、今回も日本人としては「チッ」と舌打ちをしたくなるようなハリウッド映画の典型的なお粗末描写がある。
放射線防護服も着ないでマクレーンたちが堂々と乗り込んで、「オレたちダイ・ハード!」と言わんばかりに銃をブッ放すクライマックスはもう親子漫才を見ているレベル。
テロ組織が放射能汚染を中和する特殊なガスで除染して「ハイ、完了!」とか(そんな夢のガスがあるなら福島まで除染しに来やがれ!)、大量のウランが眠る倉庫で平然と大爆発&ドンパチ戦!とか、開いた口が塞がらない珍場面かつおぞましいシーンのオンパレード!
しかも、チェルノブイリの原発事故は裏では今回の陰謀が絡んでいたというトンデモないフィクションまで付け加えられており、これにもビックリ。『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』でもチェルノブイリのトンデモエピソードが出てきたが、ハリウッド映画人はその反省をするどころか、テキトーな話で諸外国の人々の神経を逆なでする。ロシアの方々、もう怒ったほうがいいよ。
おまけに「雨水のプールは安全だ」とか「どうせ髪の毛が抜け落ちて5年後にはお前もこうなる」という全く笑えないギャグを平気で言わせている演出には怒りすら覚える。『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』の冷蔵庫シーンに勝ると劣らないまさに超絶的なBOMBシーンである。
劇中のテロリストどもが、放射能の恐ろしさなんか理解するつもりはさらさらない脳天気なハリウッド映画人に見えてきてしまい、ムカつかせてくれるのだ。たかがハリウッドのアクション映画になにそんなにムキなってんだ?と思う人もいるだろうけど、天下の『ダイ・ハード』でこんないい加減なストーリー、演出をやってはダメだ。『エクペン2』ならまだ許せるけどさ。
とにかく脚本が致命的にダメで、あと10回は書き直せというレベルなんですわ。
次回作こそは『ダイ・ハード』に愛のある監督に任せるべき
1月下旬まで編集作業をしていたという本作。完成に焦っていたのが、所々で描写不足と感じた拙い部分も散見され、まるでシーンを1つすっ飛ばしたような「未完成バージョン」を見ているような感じ(おそらくBDではエクステンデッド・エディションとか出しそう)。
ダラダラと2時間以上やれというわけでもないけど、やはり『ダイ・ハード』シリーズで98分は物足りない。129分の『4.0』はアクションとドラマをバランスよく取り入れ、レン・ワイズマンはイイ仕事をしていたなあと改めて思った。
で、今回はなぜかビスタサイズで撮影。やはりここはシネスコで統一してほしかったし、構図的に窮屈なビスタよりも、ハッタリでも画的な広がりやスケール感を出せたと思う。ま、シネスコにしたからってジョン・ムーア監督の演出が良くなるというわけではないが・・・・。 ついでに言うなら戸田奈津子の字幕も会話の流れが悪いというか、明らかに説明不足な部分が何箇所かあった。
「ついにマクレーン死す?」を匂わせた邦題の『ラスト・デイ』にも疑問。原題は『It's a good day to die.』(死ぬにはいい日だ)をもじったもので、それを意識したのだと思うが、今回のマクレーンは命からがらの大きな危機を迎えるわけではないので“ラスト・デイ”感もない。素直に『ダイ・ハード5』でよかったんじゃね?と思ったり。次回作は『ダイ・ハード 復活の日』とかにしないでくれよ。
予告編にも問題ありで、イイトコ見せすぎ!(ま、今回はイイ場面が少ないからフォックスも苦慮したとは思うけど) ホテルの窓からダイブする場面や、マクレーン親子がヘリと一緒に落ちていく最大の見せ場でもあるクライマックスもCMでしっかり見せちゃってるため、サプライズ感が大きく減退しているのはいただけない。
ヘリにしがみついてたジョンが振り飛ばされて建物に突っ込んでくる場面もTVで見せてたし。つまり、予告で見せていた以上のものがないんですヨ。 あと、敵の女がライダースーツを脱ぐ予告編のカットが本編で使われてないのもなんだかねえ。
サービスカットよん!
音響効果が今一つ迫力不足だったのも否めず、同じ劇場の一番でかいスクリーンで『アウトロー』を観たときは、射撃音が耳をつんざき、重低音抜群の車のエンジン音が体中に響くような素晴らしい音響空間を体験できたのだが、本作の場合、やはり編集日数が足りなかったせいなのか?と勘繰りたくなるぐらい音のヌケが悪く、作りこみも甘い。音からダイナミックさが伝わってこないのだ(劇場側のメンテに問題あったのだろうか?)。
他のアクション映画とは別格の位置にいなくてはならないはずの『ダイ・ハード』が、そのへんのフツーのアクション映画になってしまったのはすごく残念。
『インディ/クリ・スカ』『ターミネーター4』級に「なんか違う」感に襲われ、トホホな気分で劇場を後にし、帰ったら口直しに1作目のBDを観ましたヨ。 畜生、『ダイ・ハード』に愛のない監督が撮るとここまで落ちるものなのか・・・・。レン・ワイズマン監督も『トータル・リコール』のリメイクなんか撮ってないで、こっちをやればよかったのに!
バレンタインデーに日米同時公開された本作は世間の評価はやっぱり不評。ヤフー映画レビューでは①4.64点→②4.09点→③3.72点→④4.02点→⑤2.87点と、シリーズ初の3点未満を打ち出し、
ガッカリ感がハンパなかったファンが続出しているようだ。
ロッテン・トマトに至っては、シリーズ2番目の高評価を叩きだした4作目の81%から急落し、わずか16%しか得られておらず、
駄作認定の烙印を押されている。おいおい、『96時間 リベンジ』の21%よりも下って・・・・(苦笑)。来年のラジー賞ワースト続編賞入りはほぼ確実でしょう。 ※データは2月17日現在
個人的にはこれまでワーストだった3作目にも劣るダントツの最悪作で、個人的ランクは、1>2>4.0>3>ラスト・デイ ですね。
ウィリスは6作目も作ると早くも明言しているけど、『ダイ・ハード』も『007 スカイフォール』のようにシリーズのあり方を見直す時期が来ているのでは。それこそ1作目にもう一度立ち戻って、『ダイ・ハード』の魅力とは何かを真剣に考えるべき。1作目を超えろという高望みはしないけど、それに次ぐクオリティでファンを喜ばせる努力ぐらいはしてくれないと!
ただハデに物を壊せば『ダイ・ハード』と勘違いしている監督やプロデューサーにやらせてはダメだ。こんなやっつけ仕事な『ダイ・ハード』は二度と観たくない。
あ、やばい・・・苦言しか言ってないぞ。
今回のシネトーク、不快に感じられる方もいるかもしれないけど、それだけ『ダイ・ハード』を愛しているということなんですヨ。大好きなシリーズゆえに厳しい目で見てしまう。好きだからなんでも許しちゃうという寛容な心をボクは持ち合わせておりません。ダメはものはダメ!
ま、マクレーンがいつものように暴走してくれだけもうOK!という心の広いファンや、『ダイ・ハード』にそんなに思い入れがない人が観たら面白いと思います。もしくは『エクスペンダブルズ2』のチャーチを主人公にしたスピンオフ映画として見たらそんなに目くじらを立てなくてもいいかもね。
この黒歴史映画を残したままシリーズ終了は寂しすぎるので、次回作こそは「マザーファッカー」ではなく「イッピカイエー、マザーファッカー」な『ダイ・ハード』を見せてほしいと切に願います。
ココGOOD! アクションの連続!/ジョン・マクレーン、フルスロットル!/カーチェイス・シーンは派手
ココBOMB! ストーリーがダメ/全体的にスケールダウン/マクレーンのキャラ変化に共感できず/マクレーンが不死身すぎ/コンビプレイが空回り/質より量のアクション演出/時間が短いからせわしない/都合のいい危機回避シーンばかり/ロシアにした意味がない/クライマックスが盛り上がらない/ユーモア不足/でたらめな放射能描写/ミスリード効果なし/監督から『ダイ・ハード』愛が感じられない/予告編でネタバレ多すぎ/邦題がダメ
●満足度料金/1000円
『ダイ・ハード/ラスト・デイ』 55点