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復刻シネトーク116『テルマエ・ロマエ』●面白いとこもあるけど観終わった頃には“湯冷め”しちゃう

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『テルマエ・ロマエ』地上波放送&『テルマエ・ロマエⅡ』公開記念

(初掲載:2012年6月10日)




面白い映画には愛を捧げ、そうでない映画には鉄槌を下す
てるおたくお

ぶっちゃけ復刻シネトーク


●今日のちょい気になることシネ言

「『誰に見せたいんだろ? この映画』というような予告編を観ると萎える。特に日本映画」




シネトーク116
『テルマエ・ロマエ』




監督:武内英樹 原作:ヤマザキマリ 脚本:武藤将吾
出演:阿部寛/上戸彩/北村一輝/竹内力/宍戸開/勝矢/キムラ緑子/笹野高史/市村正親


2012年・フジテレビジョン・東宝/108分/シネスコサイズ/東宝配給(2012年4月28日公開)



●作品解説
ヤマザキマリの同名マンガを阿部寛主演で映画化。
古代ローマ帝国。アイデアに行き詰った浴場設計技師のルシウスは
友人に誘われた公衆浴場(テルマエ)で溺れてしまい、
なぜか現代日本の銭湯にタイムスリップ。
見たこともない“平たい顔”族を前に戸惑う彼は
ローマよりも遥かに進んだ日本の風呂文化に感銘を受け、
そのアイデアを古代ローマの浴場設計に活かすのだが・・・。




※ネタバレしてます! ご注意ください





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前半のコメディと後半のシリアスなバランスの悪さが気になる


てるお 「しかしまあ、公開6週目なのに週末ランキングではまた2位に返り咲き、50億突破もほぼ確実なほどヒットしてる。ここまでヒットするなんてフジテレビも東宝もウハウハだろうな」


たくお 「実写邦画で50億は久々。邦画が当たることは日本人としては喜ばしいことです、作品の良し悪しは別にして(笑)


てるお 「今、強敵な作品が『メン・イン・ブラック3』ぐらいしかないし。期待された『ダーク・シャドウ』は不評の口コミで興収が伸び悩んでるし」


たくお 「『ダーク・シャドウ』はマジでつまんなかったなあ。どうしたティム・バートン!(笑)」


てるお 「で、『テルマエ・ロマエ』だけど、俺はコミック全巻読んでるほどの原作ファンなんで、今回の映画化はけっこう期待してたんだよ。ルシウスを一体誰が演じるのか。阿部寛がキャスティングされた時は、『ああ、なるほど、阿部ちゃんならアリやね!』と思った」


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たくお 「僕は原作未読だからそんなに期待値は高くなかったけど、あのマンガの主人公のイラストを見て、阿部ちゃんはナイスキャスティングだわな」


てるお 「俺は表情だけで笑わせる彼のコメディ演技が好きで、特に『結婚できない男』は、阿部ちゃんだからこそあそこまで傑作になったドラマと言っても過言じゃない」


たくお 「『アットホーム・ダッド』もけっこう面白かったよ。マジメな笑いをやらせたら阿部ちゃん、ピカイチ


てるお 「大マジメにやって笑わせるという意味では、阿部ちゃんの起用は結果オーライ。これがただの悪ふざけだったら目も当てられないけど」


たくお 「トイレのウォシュレットに驚くくだりとかベタベタなんだけどやっぱりワロタ。あの白目をむいてイクところとか(笑)」


てるお 「お花畑映像の過剰なベタ演出で攻めるところは、もろTV的で本当なら俺は引くんだけど、音楽の入り方とかがタイミング良すぎなのでツボった(笑)」


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たくお 「でもやっぱり『のだめ』を手掛けたフジテレビ監督らしいTVっぽい演出もチラホララ~


てるお 「タイムスリップシーンのたびになぜか出てくるオーケストラ指揮者は別にいいとして(あまり効果的じゃない演出だけど)、洗濯機で人形をグルグル回してわざとチープ感を狙ってる演出とか完全に外してるよな。ああいうのはやっぱりシラけるからヤメてほしい


たくお 「ローマ人が日本語で普通にベラベラ喋る場面を“バイリンガル”処理で済ませるのもTV屋っぽい逃げ演出


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てるお 「他のローマ人はラテン語を話して吹き替えを当ててるのに、阿部ちゃんはフツーに日本語を喋ってるからやっぱり違和感あるんだよね。そういうところは全然考え抜かれてないよなあ、と思う」


たくお 「確かにそれらのダメ演出ポイントも大いに気になるけど、そうは言っても本作が駄作にならなかったのは、やっぱり阿部ちゃんの日本人離れした存在感というか、肉体感にある(笑)。元々ガタイはいいんだけど、本作のためにさらにビルドアップしたらしい」


てるお 「ほとんど素っ裸。あの肉体美は男から見てもちょっとウラヤマシス」


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たくお 「古代ローマ人が現代の日本にタイムスリップしてきてその文明に驚くカルチャーギャップ・コメディとしては、原作を知らない僕のような一見さんでもちゃんと楽しめるように配慮されている・・・・・とは思う」


てるお 「まあ、原作は基本その繰り返しだからなあ。俺としてはそろそろマンネリ感が出始めてきたけど、そのワンパターンな展開を良しとするファンも多い」


たくお 「映画でもルシウスはローマと日本を行ったり来たりしてて、ずっとこんな調子なのかと思ったけど、後半は映画用のオリジナル・エピソードらしい。ちなみに原作のどの部分を映画化してるの?」


てるお 「初めて銭湯に来る場面は第1話で、爺さんのヘルパーに間違えられる話は3話、展示場にタイムスリップするのは4話、湯治場と金精様のエピソードは5と6話、バナナワニ園のエピソードは8話から引っぱってる。原作からの引用は第2巻の途中まで」


たくお 「なるほど」


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てるお 「猿が出てくるからてっきり2話も描いているかと思ったけど、猿の話は結局なかったな。猿の温泉に間違えて入ったルシウスが温泉玉子の技術を持って帰る2話目も面白かったのに、映画では省かれてたのが残念。金精様のエピソードも原作のそのおかしな描写をただなぞってるだけでモッタイナイ」


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たくお 「予告編を観た時、広大なローマの街並みとか日本映画にしてはスゲーな、とテンション上がった。この映画って製作費かかってんじゃないの?」


てるお 「いや、5億もかかってない


たくお 「安っす!」


てるお 「ローマのシーンはイタリアのチネチッタ撮影所のオープンセットで撮られたもので、海外ドラマ『ROME [ローマ]』の撮影で作られたセットをそのまま流用してるだけ。エキストラ1000人分の衣装もスタジオに保管されてたやつを拝借しただけらしい


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たくお 「そうなんだ。そりゃコスト削減に大助かりだな」


てるお 「でも大浴場とかは日本でセットで組んで撮影している。あの大浴場セットはローマの雰囲気もあったし、なかなかのクオリティだったと思う」


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たくお 「ま、今の日本映画の体力じゃこんなでっかい街のセットはまず作れないわな。でも製作費5億ぐらいの映画が50億近く稼いでいるから、フジと東宝の“したり顔”が目に浮かぶ(笑)」


てるお 「前半1時間は原作を踏襲したカルチャーギャップの面白さを活かした展開でそれなりに退屈しないで観られたけど、誰の目から見ても明らかな不評ポイントは後半部分。映画オリジナルの展開になるとその面白さが急に失速しちゃう


たくお 「ルシウスがローマと日本を行き来してるだけじゃ映画にならないから原作にはないああいう展開にしたのは分かるけどさ、なんか・・・・単純に話として面白くない・・・・・・よね(笑)。映画的な見どころが目減りしてるし、前半のコメディと後半のシリアスのバランスの悪さだけが目立って、話で魅せられるものがあまりない


てるお 「前半こそはオープンセットでロケしてゴージャス感を演出してたのに、後半でルシウスらがオンドル小屋を建てる時のシーンでは日本映画らしいショボさが出ちゃってるし・・・・。アレはナイよなあ」


たくお 「10人ぐらいの男が石を転がしてるだけって・・・・。皇帝の命令なのにこの人数の少なさは一体(笑)」


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てるお 「次々にオンドル小屋が出来あがるシーンはCGで端折ってるけどさ、あそこは民衆が一体となって目標を達成するところが見せどころなんじゃないの? それを描かないってどーよ?」


たくお 「上戸彩演じる山越真実が古代ローマにタイムスリップしてくる展開もあんまり意味なかったよね。てか、そもそも、あのヒロインいる?」


てるお 「彼女は映画オリジナルのキャラなんだけど、19話以降(コミックス4巻)に出てくる小達さつきという古代ローマ大好きヒロインが基だよね。ま、上戸彩は別にいいとして、せっかくオリジナル・キャラを出したんだから、ルシウスと共にストーリーの盛り上げ役にもできたはずのに、全然そうなってない。残念ながら脚本の練り込み不足が否めない


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たくお 「彼女がローマへやって来て『ローマの危機を救うため~!!!』って言ってもさ、ローマの未来が書き替えられてしまうタイムパラドックスの危機感がそれほど感じられないので、話としても大して盛り上がってくれない」


てるお 「彼女だけじゃなく、温泉宿の主人や銭湯客のオッサンらもせっかくローマに飛ばされてくるのに、特に大した見せ場もなくオンドル小屋建設を手伝って、いつの間にか未来にまた戻っちゃう・・・。こんなキャラの無駄遣いはないよなあ


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たくお 「漫画家志望としてなかなか芽が出ずアセる真実だけど、上戸彩の真剣味の欠けた演技からして、そんなに深い悩みに見えないんだよね(笑)。それよりも実家の温泉旅館の経営危機がよっぽど深刻なのに、その問題は投げっぱなしのまま映画が終わるのはビックリした。おいおい・・・・


てるお 「そうなんだよ。ルシウスが現代日本で見つけた技術をローマで活かしたように、真実もローマで学んだことを旅館再建に役立てるもんだとばかり思ってた。当然、そのために用意されたエピソードだと思ってたのに、全く回収されないし・・・・」


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たくお 「ていうか、スタッフは脚本を読み返して誰もおかしいと思わなかったのか? 『旅館のハナシはどーなってるの?』って(笑)」


てるお 「おかしいと分かっててもなかなか言えないのが日本人(笑)」


たくお 「それか単純に誰も気づかなかっただけか」


てるお 「納得できないのが、上戸彩が自慢にしてもいいその巨乳をほとんどさらけ出さなかったこと。これは風呂映画の作り方として根本的に間違ってる!(笑)


たくお 「チチNGはしゃーないとして、せめてきわどい谷間ぐらいは解禁しませんか、オスカーさんよ」


てるお 「ローマ衣装でもその巨乳感はしっかりアピールしてるのに、肌露出を最小限にとどめてる。男性客を生殺しにしている時点でマイナス50点だな


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たくお 「ところでこの漫画家志望の真実というキャラ、原作者のヤマザキマリ自身をちょいとモデルにしてるって聞いたけど」


てるお 「真実の体験談が『テルマエ・ロマエ』という漫画になった、というオチはキライじゃないけどね。ただ、全体的な話ろして観客の興味の上をいくようなものがなかったのは非常に惜しまれる


たくお 「予告編以上の飛び抜けた面白さがあまりなかったなあ。予告編負けしている映画って結構多いけどさ」


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てるお 「あと原作ではルシウスの“語り”が温泉のうんちくにもなってて、読ませる面白さがあるんだけど、それを映画でも同じようにやってもさ、マンガほどの面白さがあまり感じられないんだよ。阿部ちゃんの“一人コメンタリー”になってるだけの演出に工夫がないから、だんだん飽きてくる


たくお 「阿部ちゃん、コメンタリー好きだね。『麒麟の翼』 でも延々と1人で喋ってたもんなあ(笑)」


てるお 「決定的にダメだったのは、ルシウスの奮闘により改善された風呂につかる人々の“気持ちよさ感”が映画を観ててほとんど伝わってこなかったこと。原作はフロ漫画の傑作なのに、映画もフロ映画の傑作を目指さないとダメっしょ」


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たくお 「あとエンドクレジットはやっぱりドリフターズの『いい湯だな』でシメるべきだった(笑)


てるお 「だよね! 俺もエンドロールでは脳内ミュージックで『いい湯だな』を流してたよ(笑)」


たくお 「ま、ボク的には上戸彩の入浴映像がエンドクレジットに入ってたので+10点(笑)」


てるお 「面白かったという人も多いようだけど、原作ファンの俺としては物足りなかった。観終わった頃には湯冷めしちゃったぞ


たくお 「でも、昨日から上映が始まった同じローマを舞台にした映画 よりかはマシなんじゃない?(笑)」


てるお 「ま、アレに比べたらこっちのほうは“映画”として成立している分、10倍イイ作品だ。それだけは断言できる(笑)」


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●ココGOOD! 阿部ちゃんの肉体美(笑)/阿部ちゃんのマジメなコメディ演技/前半部分はそれなりに面白い/ウォシュレット・シーンの過剰な演出/なんだかんだ言っても上戸彩はかわいい/ローマの町の壮大なセット(ただし流用)/非売品コミックがもらえた(笑)
●ココBOMB! バイリンガルでごまかす2カ国語演出/後半になると話が急に失速し退屈/ヒロインの実家の旅館放置問題/TV屋的なチープな演出/上戸彩の出し惜しみ/予告編以上の面白さがあまりない/阿部ちゃんのコメンタリー/エンドロールはやっぱり『いい湯だな』でしょ




●満足度料金

てるお  1000円

たくお   900円



『テルマエ・ロマエ』 60点






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