これまで何度もTVやビデオで観ている映画とはいえ、劇場の
大スクリーン&大音響で観たほうが圧倒的に面白い作品があります。
例えば『アラビアのロレンス』だったり、『2001年宇宙の旅』だったり、
『ダイ・ハード』だったり、『大脱走』だったり、『インディ・ジョーンズ』だったり。
しかし忘れてはならぬ映画が
最強のSFアクション映画であり、最強の戦争映画であり、
最強のヒロイン映画であり、最強のガジェット映画であり、
最強のカタルシス映画であり、そして最強のキャメロン映画である
『エイリアン2』です! しかも完全版!!!!
6月7日から全国のTOHOシネマズで
『エイリアン ディレクターズ・カット版』と
『エイリアン2 完全版』がデジタル・リマスターで
2週連続(各1週間限定)で上映されています。
1986年8月の初公開時にも、京都で最もスクリーンが大きかった
東宝公楽で今となっては超貴重な70ミリ版で観ました。
IMAXにも匹敵する巨大なスクリーンで大暴れする
エイリアン・クイーンの迫力といったら、もう失禁ものでしたヨ。
当時中学生なりたてのボクはチキン野郎で、
まともに観れなかったんですねえ、怖くて。
「怖いんやけど、めっちゃおもしれー!!!! でも怖えーっ!」と
心臓バクバクさせながら帰路に就いたのを今でも覚えてます。
それから27年間、『エイリアン2』との長いお付き合いが始まるわけです。
レンタルビデオで借り、スタンダード版LD → スペシャルコレクション版LD →
通常版DVD → アルティメット・コレクションDVD-BOX → ブルーレイBOXと
何度もメディアが変わっても、『エイリアン2』だけは買い直してましたね。
特にスペシャルコレクション版LDで完全版を初めて観た時の感激も大きかった。
ニュートの家族のシーンやリプリーの娘のエピソード、セントリーガンで
エイリアンを撃退するシーンなどが加わり、興奮も2倍~2倍~っ!
その完全版が劇場で初めて観られるチャンスを逃すものかと、
TOHOシネマズ・市川コルトンプラザに行って参りました。
『エイリアン2』が好きすぎてたまらん!という感じの
30~50代ぐらいの男性客がほとんどで、場内は加齢臭プンプン。
いつもなら中央付近で観るんだけど、今回は前から4列目で鑑賞。
というのも、ビスタサイズの『エイリアン2』を
視界ギリギリまで収めたかったため。
ただ、この劇場に限ったことじゃないけど、
最近はどこもビスタサイズ映画でもシネスコスクリーンで
両端を開けっぱなしのまま上映するから気になるんだよね。
スクリーン調整ぐらいしろよ、とマジで思う。
100回近くは観ているはずなのに、
大スクリーン&大音響で観直すと新しい発見がありますね。
これまで気にしなかったんだけど、エイリアンが初めて出てくるのは
なんと1時間13分後。そんなに遅かったっけ?と再認識。
それまでは、リプリー、ニュート、海兵隊のエピソードをじっくりと描いて
観客に、キャラクターに対して感情移入する時間を与えているんです。
前半部分は展開がもっさりしてて本来なら退屈となる部分を
キャメロンは引っ張りに引っ張り、じらしにじらして
緊迫感を高めながらストーリーを進めていく。
語り口が絶妙で話の推進力が全然落ちてないのが見事です!
もし、今『エイリアン2』を作ったら
「観客が退屈するから30分以内にエイリアンを出して」とか
スタジオの方針で決められちゃうでしょうね。
だから昨今の映画は演出的にせわしない作品が多いんだよ、ったく。
前半はキャラクターのドラマに時間を割き、
後半で畳みかけるようにアクションを盛ってくる。
この緩急のバランスが見事に取れた演出はマジで素晴らしすぎっ!
27年前の作品という古めかしさを全く感じさせません。
今回はデジタル・リマスターでもちろんDLP上映。
粗々しいノイズやグレインもほとんど感じることなく申し分ない画質。
ただ、リプリーがエイリアンを持ち帰ろうと企むバークに
詰め寄るシーンでは、ピンボケのような甘い画になったのが気になった。
リマスターの問題なのかと思い、帰ってからBDで再確認したけど、
やっぱりBDでも同じシーンでは甘い画質になっていたので
これは元からピンボケ気味だったのでしょう。
しかし、リマスターによってエイリアン軍団の
黒のてかり具合に磨きがかかってましたね。
ほんと、でっかいゴ○ブリみたいで。
キャメロンのこだわりと作り込みがハンパじゃない音響効果も
最新のデジタル・サウンドでしっかりと再現。
昨今のアクション映画にひけを取らない高音質で
臨場感抜群のサラウンド力でしっかり聴かせてくれます。
何度も観てるのに音でドキッとさせられる場面も何箇所かあったし。
やっぱり今の家庭環境では、体の底から響くような
大音響をならせないので、劇場のデジタル・サウンドで体験する
超絶エイリアン・バトルにアドレナリン大爆発っ!
一生懸命、卵を産み落としているクイーンの
荒々しい鼻息までクリアになってましたよ。
字幕はBDと同じようなデジタル字幕だったけど、
できれば味わい深い手書きフォントにしてほしかった。
翻訳はBDバージョンと同一でした。
ちなみに上半身だけのビショップがニュートを助けるクライマックスで、
ランス・ヘンリクセンの有名な下半身バレのミステイク・シーンは
BDと同じで修正されたバージョンでした。
個人的にはアレはアレでそのままでも良かったんですけどね。
今回の2時間35分はまさに至福のひと時。
この映画のように観終わった後、
「燃えーっ!」「すげーっ!」「やべーっ!」と、
心から拍手を送りたくなるような作品に近年、出会えてないなあ。
ラスト、ニュートがリプリーに「マミー!」と
抱きつくシーンでは思わず泣きそうになりましたよ。
『エイリアン2』を改めて大スクリーンで観ると
今の映画に何が足りないのかよく分かります。
エンドクレジットの最後に流れる
エイリアンが走り去る音までちゃんと聞き届けて
心地よい疲れを感じながら劇場を後にしたのでした。
『エイリアン2 完全版』は明日までの上映。
この傑作がなんと1000円の特別料金で観られます。
劇場で体験するラストチャンスかもよ。
おしまい。
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