面白い映画には愛を捧げ そうでない映画には鉄槌を下す
たいむぽっかんの
ぶっちゃけCINE TALK!!!
●GW明けのただの愚痴
「休ませろーっ! でも、更新が追いつかねーっ」
シネトーク157
『ジャックと天空の巨人』
(2D字幕版)
JACK THE GIANT SLAYER
監督:ブライアン・シンガー
出演:ニコラス・ホルト/エレノア・トムリンソン/スタンリー・トゥッチ/イアン・マクシェーン/ビル・ナイ/ユアン・マクレガー
2013年米/ニューラインシネマ・レジェンダリー/114分/シネマスコープサイズ/ワーナー・ブラザース配給(2013年3月22日公開)
●作品解説
世界的に有名な童話『ジャックと豆の木』をベースに『X-MEN』シリーズのブライアン・シンガー監督が3Dで映画化したファンタジー・アドベンチャー。
不思議な豆を手に入れた農夫の青年ジャック。ある日、城から逃げ出したイザベル姫が嵐に見舞われ、ジャックの小屋で雨宿りをすることに。その時、地面に落ちたひと粒の豆が発芽し、みるみると巨大なつるとなって小屋もろとも天空まで押し上げていく。イザベルを救うべく、エルモントを中心とした王家の編成部隊が組まれ、ジャックも一緒に天空に向かう。しかしたどり着いた場所は恐ろしい巨人族が支配する国だった。
※ネタバレしてます! ご注意を!
恐怖感ハンパない巨人のビジュアル、なかなかイイっすよ!
意外だ。ブライアン・シンガーが5年ぶりとなる監督作として選んだのが、誰もが知っている『ジャックと豆の木』だとは。 前作『ワルキューレ』が大コケ&不評だったシンガーもついに子供向けファンタジー監督としての名声が欲しくなったのか。『X-MEM』『スーパーマン リターンズ』でアメコミ・アクションものはお手のもののシンガーがファンタジー・アドベンチャー?と、やっぱり違和感が拭えなかった。
当初は『イーグル・アイ』『アイ・アム・ナンバー4』のD・J・カルーソー監督にオファーされていた本作は、脚本も何度かリライトし、製作も延期され、公開日も変更。で、シンガーにメガホンが渡り、1億9500万ドルという巨費を費やして完成。満を持して公開されたわけだが、米国ではわずか6320万ドルしか稼げず、『X-MEN』以降のシンガー監督作としては『ワルキューレ』の成績にも到達していない最低記録を更新。 世界興収でも1億9635万ドルで、製作費も回収できてない大コケというニュースが伝わり、「これは過度な期待はしないほうがいいかも」とテンションを半分ぐらいにして鑑賞。正直、昨今相次いで公開されている童話やおとぎ話の映画化にはそれほど惹かれてるわけではなく、観終わった後もスッゴイ面白かった!と満足度の高い作品はあまり巡り会えなかったのも、これまた事実なわけでして。
で、本作はどうか。
いやいや~、なかなかどうして、面白いじゃないか、畜生(←意味不明)。燃焼系バトル・アクションとしては『オズ はじまりの物語』よりもずっと楽しめましたぞ。なんで大コケしたんだろね。やっぱり妙にキモグロい巨人のビジュアルが、純粋なファンタジー・アドベンチャーだと思って観に来た無垢な子供たちにトラウマを与えちゃったせい? それともニコラス・ホルトだとまだまだ華が足りてないのかなあ、とか思ったり。
そりゃいくらなんでも、誰もが知ってる童話『ジャックと豆の木』を映画化しただけでは客は呼べないわけで、じゃあ『巨人殺しのジャック』も融合させたファンタジー大作にしちゃおう!という製作陣の狙いは正解だと思う。ただ、それでもお客は劇場に足を運ばなかった。
そもそも『ジャックと豆の木』の話については、強烈な違和感・・・・というか、色々と納得できない部分が昔からあって、ジャックが巨人の国に勝手に忍び込んで金銀財宝を強奪しておいて、それに気づいた巨人が追いかけてくるから巨木を切り倒して、連中を撃退! めでたし、めでたし・・・・ってヒドイ話だよね?と、子供だったボクも主人公に共感できなかったモヤモヤがあったわけですヨ。 ジャックってすげー勝手なヤツじゃん! 巨人ちゃん、不憫やのお・・・・ だったんです。
そこはシンガーも同じことを思っていたらしく、今回の映画版では巨人を完全なワルモノにして、ジャックを応援したくなるようなナイスガイに設定変更。巨人がかつて地上でオイタをして、罰として天空に幽閉されちゃうという“後付け”な理由が加えられ、ジャックも“イイやつ”になったので、原作にあった<後味の悪さ感>は払拭されている。ココ、ポイントね。
前半は、ジャックとお姫様イザベルのラブラブな他愛ないロマンス的な展開が意外と長く続き、「なんかつまんねーな、コレ」感が漂っていき、お豆さんから木がニョロニョロと天空まっしぐらに伸びていくVFXシーンはちょっと燃えたけど、巨人が出てくるまでは、正直なとこ、退屈&冗長。 しかも物語の半分も過ぎてないのに早くも尿意が襲ってきてちょっとイライラしたり。
とはいえ、一行が巨木をヨッコラショ、ヨッコラショと登っていく場面は実に楽しく、男子の冒険心を大いにくすぐってくれる。「このシーンを3Dで観たら高低感、奥行き感がすごいんだろうなあ」とか思ったりね。
あ、そうそう、今回は2Dに字幕で鑑賞。というのも、ほとんどの劇場では3D版は日本語吹替のみというふざけた上映をしていて、高い映画代を払ってまでなんでウエンツ瑛士と平愛梨とブサイク芸人たちの吹き替えで観なきゃいけねーんだ!という理不尽さに怒りを覚え、かと言って3D字幕版を上映している新宿まで交通費を出してわざわざ観るほどでもないかと思い、2D字幕版で妥協した次第。ただ、あちこちのレビューを読む限りでは、日本語吹替はやっぱり“トホホ”な出来で、3Dも思ったほど効果がなかったらしいので、2D字幕で全然良かった・・・・のかなと。
大ヒットが見込める作品ではないにしても、タレント声優で宣伝して客を呼び込む配給会社の狙いも分からんわけじゃないけどさ・・・・・と、今さらそんな苦言を呈してももうムダ。 ちなみに本作は2D→3D変換ではなく、当初から3Dカメラで撮影してるんだそうな。
で、待望のキモグロ巨人がででーんと登場! 大スクリーンに映えるでっかいコイツらの恐怖感がハンパないんですわっ!
『ロード・オブ・ザ・リング』などのファンタジー映画でよく出てくる巨大なトロルとか、ああいうモンスター化、クリーチャー化されたものではなく、ただのチョーでっかいオッサンなので、逆にそれが妙に生々しくてリアル感を醸してて、「なんかコワイよ、コイツら・・・」なんですねえ。やっぱり被写体がデカイと映画はエキサイトするものです。コレ、大事ね。
でもって、人間どもを叩き潰したり、食っちゃったりするわけだから、それがまた怖さを助長していて、ゾクゾクさせてくれるのだ。
「ヤツらを地上に降ろしてはならぬ!」と王家の一行が木を切り倒すシーンでは、とてつもなく長いつるが天空からドドドドーッと落ちてくる描写が、CGとはいえ、あの重量感ビンビンな映像表現はマジスゲー!と思ったり。 しかもジャックもイザベルもエルモントもまだ降りられてないのに、つるが崩れ落ちていく。いやあ、実にスリリング、かつ圧巻ですっ! やっぱり3Dで観とけばよかったかなあと、ココでちょっと後悔したり。
巨人が住む天界と地上の世界が断絶され、原作はここで終わり、めでたしめでたし!となるわけだけど、映画での本当の見せ場はここから! ここからが<燃えどころ>となる。
悪党ロデリックが持ってたお豆さんを撒いて新たにでっかいつるを地上まで伸ばし、無数の巨人が地上に降臨っ!「おりゃ~~!合戦じゃい!ワ~レ~!」と言わんばかりに、国王のいる城を目指してドタドタと巨人どもが突進してくる。ここが一番のコーフンどころでもあり、凶暴化したグレムリンがプールにポチャンと入っちゃって増殖するときの「うわ~、エライコッチャ!」感がしっかり味わえます。
そこから、城を守る人間側と、攻めてくる巨人側の一大スペクタクル的なドハデ攻防戦に突入し、前半の不完全燃焼もきちんと燃焼させてくれるのだ。アクション・カタルシスとしては文句なし! 燃やした木を城内に豪快に放り投げてくる巨人の戦法もカッコイイし、兵士が徐々に追い詰められていくさまも緊張感があって、見せ場的な推進力がどんどん増していく。
ただね、ファミリー映画としてPG-13にとどめたかったというのも分かるけど、もうちょっとグロ描写が欲しかったところ。アクションはなかなかハードに頑張っているのに、人が食われたり押し潰されたりする直接的なグロ描写がほとんど見せてくれないので、もっと言えば流血シーンもあまりないので、そこがどうも<生ぬるい感>が漂っちゃってるのもこれまた事実。ごまかさずに<死の恐怖>もちゃんと描いていれば、すっごい傑作になった可能性もあったのに。ゴア・アクションを好物とするボクとしてはいささか消化不良は否めなかったですな。
強いて言うなら、双頭巨人のファロン将軍がお豆さんを飲まされて、体内からつるがニョロニョロ伸び出し、肉体が豪快に破壊され、顔も潰れて目ん玉も飛び出しちゃうラストにちょっとニンマリしたぐらい。 お話としては極めてディズニーっぽいけど、別にゴア描写までディズニー仕様にしなくてもいいのに・・・・。
絶体絶命のピンチ!というところで<支配の王冠>で全部解決しちゃうクライマックスはいささか拍子抜けしたけど、これぐらいの<めでたしめでたし的展開>が童話原作っぽくていいのかな、とか思い直したり。
で、現代に舞台が移り、博物館に飾られた<支配の王冠>を見て、1人の不気味な少年(少年の名前がロディなので、ロデリックの子孫っぽい)がニヤリとする続編を意識したシーンで映画は終わるんだけど、これだけの赤字を出しちゃったら続編製作はほぼムリでしょうね。
ジャック役のニコラス・ホルトは、ま、フツーに好青年なんだけど、ちょいインパクト不足は否めないかな、と。お姫様役のエレノア・トムリンソンは少しキャメロン・ディアス入ってる美少女。ユアン・マクレガーはフォースを使えば巨人なんてへっちゃらなんだけど、ここでも頼れる勇者かと思いきや、間抜けにも巨人に捕まってブタと一緒に春巻きにされちゃうところはケッサク! ああいうドリフチックな笑いをマクレガーがやってもヘンに浮かないから面白い。
しかし主人公以上の存在感で魅せてくれるのは、やっぱり小憎たらしい悪役を演じさせたらこの人の右に出る人は“ほぼ”いないスタンリー・トゥッチ。『ターミナル』のヤな空港警備局主任もステキだったけど、本作の権力を欲するロデリックさまもステキ。彼にべったりなオツムの弱いウィックも憎めないヤツだったのに、何も死なせなくても・・・・。この2人の早すぎる“退場”はちょっと残念なり。
巨人は人間を食い殺し、粗野で凶悪なんだけど、お間抜けなヤツもいたりして、どこか憎めなかったりする。よくよく見たらビル・ナイ感けっこう出てますな~的なファロン将軍のビジュアルも、キモグロで怖いのだが、他の巨人たちから一目を置かれる存在だけあって、カッコよくて勇ましい。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデイヴィ・ジョーンズといい、ビル・ナイってCGクリエイターからイジられやすい顔をしてるんでしょうか。人気者っ。
前半はそれなりに退屈、後半で盛り返して大いに燃えー!!!な本作、総体的に見たらキライじゃない。むしろ、そんなに期待していなかった分、思いがけない面白さを得られた喜びは大きかったかも。
本作を観たら、わが国で企画進行中の『進撃の巨人』実写映画版もしっかりできそうじゃん!とほのかな希望が抱けます。 とはいっても、バジェット、スケール、監督の演出力とセンスも大きく左右するけど、そもそも『進撃の巨人』の原作は色んな欠点が目立つので、アレをそのまま映画化するのは個人的には反対ですね。映画用にしっかりとアレンジ、脚色して魅せてほしいものです。
ココGOOD! 主人公らがつるをよじ登っていくシーン/巨人のビジュアルと圧倒的な巨大感/原作の後味の悪さは払拭/巨大なつるが切り倒される圧巻の場面/後半の一大スペクタクルに燃えまくり!/スタンリー・トゥッチ
ココBOMB! 前半部分が退屈&冗長/グロ描写があまりない/クライマックスがちょい拍子抜け/3D字幕版の上映、少なすぎ!
『ジャックと天空の巨人』 70点
●満足度料金/1200円
100点・・・・・・・・映画史に残る名作決定!! 殿堂入り!!!
90~95点・・・・・文句なしの傑作! 劇場で観るべきです!
80~85点・・・・・評価高し! 映画料金以上の価値はあります!
70~75点・・・・・面白い! オススメの秀作&良作!
60~65点・・・・・まあ、人によっては楽しめるかもね
50~55点・・・・・色々と物足りない凡作。ちょっとキツイかも
40~45点・・・・・アクビが止まらない駄作
25~35点・・・・・これで金を取るのは犯罪的なチョー駄作
15~20点・・・・・ボウリングしてたほうが100倍楽しいクソ映画
0~10点・・・・・・時間返してくれ!
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